近年、ドローンを利用した物流は、その利便性と効率性から注目されています。特に、中山間地域や離島における軽量物資の輸送は、地理的制約から従来の物流手段では採算が合わず、維持が難しい状況です。これを解決するために、異なる衛星測位手段を組み合わせた高精度測位システムを搭載したドローンの飛行実証試験を行いました。
実証試験の概要
本試験では、ドローンに「みちびき」のCLAS受信機とLTE-RTK受信機を搭載1し、補完し合うことで高精度な飛行が可能かどうかを検証しました。試験は福島RTF付近の海岸と熊本県の上天草総合病院と御所浦島診療所間の飛行で行われました。飛行距離は片道約6kmで、海上を飛行するルート設計となっています。

主な成果
- 高精度な測位と飛行の実現
CLASとLTE-RTKの受信機を搭載したドローンは、受信機の精度優先切り替え機能により、高精度な位置情報を取得しながら飛行しました。これにより、指定された飛行ルートと着陸地点に正確に到達することが確認されました。 - 誘導装置の活用
みちびきのSLAS受信機を着陸位置の誘導装置として使用し、飛行中に目的地を変更する試験も行いました。この試験では、指定された新しい着陸地点に正確に着地できることが確認され、災害時や緊急時における柔軟な対応能力が証明されました。 - 技術的検証
受信機同士の電波干渉や受信障害が発生しないこと、CLASとLTE-RTKの位置情報がスムーズに切り替わること、長距離運用が可能であることが実証されました。
今後の展望
今回の実証試験により、高精度測位システムを搭載したドローンが、物流や災害時の医薬品輸送、感染症検体の輸送において有効であることが確認されました。今後はさらに検証を重ね、中山間地や海上での安心安全な物流の実現を目指していきます。
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